「しー、オマエがアリアケの味を再現したこのハヤシライスをよーく舌に覚えさせて、佐緒里として行成の前でまた涙流して、やつをたぶらかすんだぞ、わかってんな?
あんな、ヘルメットかぶったら超・頭が長くなるようなやつに、惚れるんじゃねーぞ!」
『お兄、あたしがそんなヘタを打つわけ、ないじゃん…
でも、このハヤシライス、アリアケで父ちゃんが作ってくれたのとちょっと違う…
とがみ亭麻布店のに近い。
なんていうか…
お肉はいいし、マッシュルームもちょうどいい食感なんだけど、ソースが手抜きっぽいの…』
[よくわかったな、しー!
功兄は、井上絵美さんのレシピ見て、缶詰のデミグラスソースで作ったんだ。
これなら時間もかからないし、カレーより簡単なぐらいだよな?
けど、深みがあって、洋食店で出してるレベル、超えてるんと違う?]
「その通りさ。流星なんかに頼ってらんねえからな。おれたちでチャッチャと作るしか、ねえんだよ。
あとは、
スパイス・オブ・ライフのオリジナル食器に載せて出せば、行成もイチコロってわけさ。」
『イチコロ、って、(寒ぅぅうううう)!』